マッターホルンの精霊。【VOGUE JAPAN11月号ファッション撮影の裏側】 一つのファッシ

マッターホルンの精霊。【VOGUE JAPAN11月号ファッション撮影の裏側】

一つのファッションストーリーが出来上がるまでにはさまざまな出来事が発生します。誌面の写真からはなかなか見えてこないクリエイターたちの本音や彼らのストーリーに懸ける想い、また現場で起こるさまざまなアクシデントなど、一筋縄ではいかないヴォーグクリエイターたちの裏話をご紹介します。この話を知ると今まで見えてこなかったものが見えてくるかも知れませんよ!



秋冬のトレンドを盛り上げるエキセントリックなファー使い。今シーズンのイットルックとファーを掛け合わせ、アルプス山脈マッターホルンへとモードなノマドが果てなき旅に出る。

PHOTOGRAPHED BY GIAMPAOLO SGURA
STYLED BY ANNA DELLO RUSSO
MALE MODEL STYLED BY MIGUEL ARNAU

1966年、若き日のリチャード・アヴェドンがモデルのヴェルーシュカとともに来日し、日光東照宮で撮影しアメリカン ヴォーグに掲載された、今では伝説となったファッションストーリーがある。そして、このストーリーを初めて見たときに受けた衝撃が忘れられず、いつかチャンスがあったらこのストーリーにオマージュを捧げたいと思っていたアンナ。そのチャンスは思いがけずにやってきた。エキゾチックなファーが多く登場した今シーズンのコレクションを見たとき、「これだ!と閃いたの」と言うアンナ。そのロケ場所となったのは日本ではなく、美しいマッターホルンの麓にあるイタリアの街、チェルヴィニア。

ここは、フォトグラファーのジャンパオロが子どものころからスキーをしによく通っていた場所で、ロケのベース(キャンプ)として使用したエルミタージュホテルも彼の常宿。撮影した時期はオフシーズンということもあり、この豪華なホテルをまるでヴォーグのスタジオのように自由に使わせてくれたおかげで早朝にスタートした撮影も順調に進み、午後3時には終了。雪の中の撮影だったので、さすがのアンナも「雪にハイヒールはさすがのわたしも断念したわ。最初はそれでも無理矢理なんとかしようとしたんだけどね」とコメント。アンナの長年の夢も実現でき、ジャンパオロの子ども時代の楽しい思い出がたくさん詰まったロケ場所での撮影、こんな事実を知ると、何だか心が温まるようなストーリーに見えてきませんか?

http://www.vogue.co.jp/fashion/fashionstories/theme/210